January 2011
84 posts
冥(くら)く、ふかい、港場だった。
世界のさいはてがあるとしたら
こんな場処かもしれないな、とわたしは、おもった。
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– 最後の物たちの国で|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
わたしのことをまちがえて、
「あしたさん」と呼ぶひとが、いた。
漢字にすると、「明日」だ。
わたしはおもった。
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– ブロンソンならこう言うね|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
よく、まちがえる。 村上春樹の『1Q84』を注文するときも、 まちがえて『IQ~』と注文してしまい、 しかも、『IQ~』なんだっけなおいと思い、...
– やれやれ、風|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
あのエルモライが、 なぐられてばかりいた、 字もろくすっぽ書けないエルモライが―― 冬でもはだしで駆けまわっていた あの餓鬼が、 まぎれもないそのエルモライが、...
– 桜の園は、もうわたしのものだ!|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
私は破壊の原因より 結果に興味を持ってる。 それは現代の人間が 物語を語るときに用いる方法なんだ。 現代では原因を分析した小説を...
– 人はいつも目の前に現れたものを通して物語る|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
あとになって、 わたしが残念に思うのは、 そのときは、立ちどまろうとも、 わきを見ようともしなかったことです。 ムーミンパパ
– わきを見ようともしなかったことです|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
「あなたはあたしを おてんばの馬鹿だと思って 始終冷笑しているんです。 あなたはあたしを……愛していないんです。 つまりあなたはあたしと結婚なさる気が……」...
– 「なぜ嫉妬なさるんです」と云い切って|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
ビールを半分も飲み終えないうちに、 電話が、鳴り始める。 「出てくれよ」 リビングの暗闇に向かって、わたしは、声を荒げる。...
– 妻は声を押さえ、泣いている|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
最近、おしゃれなブログをみるのが、すきだ。
静かな午前に美術館を散歩する、
古風なつくりの本屋にいって画集をゆっくりひらいてみる休日、
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– 暗黒大陸じゃがたら|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
村上春樹といったら、どうしても「ぼく」だ。
「わたし」という主語ではなく、「ぼく」という主語の親和性。
こんなこといっていいかどうかわからないし、...
– 「僕」という村上春樹としての〈ボク〉、わたしでなく|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
祖母は、道と道代という、ふたつの名前を、つかいわけていた。
だから、わたしにはどちらが祖母のほんとうの名前なのか
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– 戦う司書と恋する爆弾|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
わたしの祖父母の家には、 叙情がたくさん、ちりばめられていた。埋(うず)もれていた。 わたしはそれを見つけては いちいち手に取り、眺めた。 だが、しかし、...
– 日付のある歌|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
世界はあらかじめ 人々によって 記憶されつくしてしまっている。 だから、「何を忘れるか」だけが 問われることになる。...
– 何を忘れるかだけが問われることになる|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
物語は、共同体の構造そのものである。 それは、内部と外部に分割された空間と、 その境界をこえる(侵犯する)ことにかかわっている。 その外部(異界)が、...
– 小説の“小説性”|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
節度のない恋をした。 好きなのだから仕様がない といふ嗄れた呟きが、 私の思想の全部であつた。 二十五歳。 私はいま生れた。生きてゐる。生き、切る。...
– 私はいま生れた。生きてゐる。生き、切る。私はほんとうだ。|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
短篇小説は 僕がこの世界に置いてきた、 ひとつひとつの淡い影のようなものだ。 あるいは残してきた ささやかな足跡のようなものだ。 僕はそれらが残っている場所を...
– どこであれそれが見つかりそうな場所で|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
人がひとを好きになり、傷ついていくさまを、
わたしはだまって、となりで、みていた。
人のありとある主体のありようが
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– 大空のなんと青かったことか|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
私は精神科医の前で、ひといき、吐(つ)いてから、次のように、いった。
もう、睡眠薬は、要りません。ハルシオンもロヒプノールも不要です。
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– 牛乳の作法|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
僕は たったひとつの 時間割を失っても、 ピアノをやめなかった。 ひとつの壁を乗り越えて 僕は向こう側の青空をみつけた。 やぶれていく 古い壁紙のむこうに...
– 音楽|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
迷宮の廻廊を、転落して、いた。
落下しつづけながら、わたしは、
ひだりがうえで、うえがしたで、
みぎはひだりで、ひだりがうえで、
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– 明日はまた違う空|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
寝床のうえで、
ひとりして、身を焦がして、いた。
天井の隅の方から、
鬼がくるよ、御前を誘いにくるよ、
御前を誘って、結(ゆ)わえにいくよ、
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– アミナダブ|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
ある地点からは、 もう戻れない。 その地点までは 達することができる。 カフカ
– もう戻れない|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
言葉は決して 〈私〉など待望したことはなく、 言語とはいつも異国語でしかない。 ドゥルーズ「消尽したもの」
– 私など待望したことはなく|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
空をあおぎ、ゆびさし、声をあげた日が、あった。
あなだ、とわたしは、いった。あれは、穴だ。
空に穴があいていた。わたしと友人は黙って空の穴をみた。
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– 風にあながあいた日|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
差出人の住所も名前もない手紙が、
続けて届いたことが、あった。
宛先は、わたしだった。
わたしは、それを、読んだ。
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– むずかしい愛|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
濡れるおじさんが、家に、きた。
濡れるおじさんは、雨が降ると、くる。
そして、きづくと、そこに、いる。
濡れていて、おじさんである。
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– 水に生きる叔父|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
きょう、人に会った。 人はすこし、怒っているようだった。...
– ヒトナミに風薫る日のこと|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
ときどき、文学をするということについて
かんがえる。
かんがえる必要がないことなので、
よくかんがえる。
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– セロリみたいな草(たぶん、セロリ)|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
乱歩をあれこれ読んでみて思ったのだが、
正岡子規が明治の視覚文化の結節点にいたのに対し、
江戸川乱歩を拓いてみると...
– 江戸川乱歩―アイデンティティの散らかりようというアイデンティティ―|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
去ったところには
できるだけ
もどらないようにしている。
わたしは大学の卒業式にはでなかったけれど
たぶんそれは
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– ブラウンさん? はい。 あなたも? はい。 わたしもです。 あなたも? はい。 いっぱいいますね|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
むかし、
すごくきれいなひとに
出会ったことがある。
ああ、きれいですねえ、
いやあ、きれいだなあ、
なんなんだろう、
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– ちゃーりーに、彼女はいった。だから、これはその引用にすぎない。|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
墓を嬉々として 見てまわる自分というものを、 少しばかり持て余す。 持て余すところから、 小説というものが立ち上がってくる。...
– 蛇や墓や|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
冬もまぢかな、ひっそりした秋のひとときは、
寒々として、いやなときだと思ったら大まちがいです。
せっせと、せいいっぱい冬じたくのたくわえをして、
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– 長い暗やみが、思いっきりおそってくるでしょう|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
職場で幼なじみと
ふたりきりになって
さて、仕事もおわろうかという頃になると
わたしはよく、彼女のもとに
本をもっていった。
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– 今はもうないものの光|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
どんなに仲がよくても
次の日には
宿敵のような存在になってる。
そういうのって、わかりますか、
と電話が、かかって、くる。
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– 風が敵対した日|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
だれかといると眠れないたちで、
大学院の合宿では、一晩中、ソファに座って、おきていた。
すると、だれかが、やってくる。
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– 意味の調理場|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
深夜に幼なじみの友人と電話することが、あった。
すこし黙ったあとで、わたしは、
とつぜんこんなふうに彼女に、いった。
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– 真夜中を突っ走れ|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
だれかと・どこかで まちあわせをしていても はずかしいので ひとだかりのなかに隠れて待っている。 待ち合わせをしたひとが あらわれても、ひとだかりのなかから...
– ちゃーりーは、うなだれながら、青空にとびこんでいく|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
友人から電話がかかってきたとき、わたしはゆめをみていた。
わたしには、明日、決闘をしなければならないという手はずがととのっており、
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– フーコーを忘れよう|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
とっても幸せな日 はやくに霧は晴れて、 ぼくは庭作業をした。 ハチドリは スイカズラの花にとまっている。 欲しいものなんてまるでない。...
– とっても幸せな日|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
自転車のうしろに
乗せてもらったことが、ある。
自転車のうしろに
おひめさまのように乗せてもらうのが
むかしからのゆめだったのだ。...
– 「リボン」と名付けられた出来事|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
運転免許の実技試験のときだ。
はやばやと試験を終えたわたしは
うしろの席にすわり、
ぼんやりと次の順番をむかえた女の子の運転を、みていた。
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– うさこちゃんのゆめ|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
「出ていくなんてできない」 と、Kが言った。 「ここにとどまるためにやって来た。 だからここにいる」 カフカ『城』
– ここにとどまるためにやって来た。だからここにいる|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
わたしが買ったんだ! へへ、ちょっと待ってくださいよ、 ご友人方、 お願いだから、 頭がくらくらしちまって、 しゃべることもできやしない……。 そうだとも、...
– 桜の園はいまやわたしのものなんだ!|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
囚われた人間は ほんとうは自由だったのだ。 この牢獄を 立ち去ることもできたろう。 格子は 一メートル間隔に はまっていたのだ。 彼はほんとうは...
– この牢獄を立ち去ることもできたろう|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
意味が、 非=意味化によって 消滅する前に、 また震えを見せるのだ。 つまり 《たしかに意味が存在している》 のに、 その意味は「固まら」ず、...
– それは幸せな、しかも不可能なテーマである|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
かわいい愛しのコンスエロ。 羽飾りのついた子ねずみ。 少しへんなぼくの妻。 最愛のひと。 どう暮らしていますか。 ほんとうに 新鮮な水をたたえた...
– 新鮮な水をたたえた泉のようなあなたがいなく ぼくはさびしい|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
何のために 生きているのだろう 何を喜びとしたら よいのだろう これから どうなるのだろう その時 私の横に あなたが 一枝の花を 置いてくれた 力を抜いて...
– 力を抜いて重みのままに咲いている美しい花だった|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
よびかけられない限り、 あなたはあなたでいられない。 よびかけられない限り、 わたしはわたしでしかない。 どれだけ、かなたまで 行こうが、わたしでしかない。...
– 私が私であるとき、私はきみである|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回
贈り物をもらった。
贈り物には、手紙が、はいっていた。
わたしは、手紙を、ひらいた。
高原を走り回りたいぐらい...
– 空爆の日に会いましょう|誰もいない歴=御前田あなたのいつだって最終回