Anata Omaeda

Jan 20

みちゆくひとから、
とつぜん、声をかけられる。
岩下さん、と。
わたしは、ハッとして、
たちどまる。いわしたさん。
だが、わたしは岩下さんでは、ない。
こえかけたひとは、わたしを
じっと、みつめている。
待っているのだ。
わたしは、
わたしがわたしなんかではなく、
岩下さんだったらよかったのに、
とおもいながら、
そのまましばらく
立ち尽くしている。
わたしは、いわしたさんに、なろうと
する。
それは
そんなにむずかしいことではないと、
わたしは、おもう。

わたしは、
そこに、たっている。
岩下さんになれたはずのものとして。
岩下さんになろうとしたものとして。
岩下さんではない、
だれにもなりえない、だれかとして。

わたしだけのいわしたさん。またはオーマイいわしたさん。|いつだって最終回